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下剤常用で認知症リスク

 便秘で市販の下剤を日常的に使用すると、将来の認知症発症リスクが高まるとする論文が昨年発表されました。

 大腸には善玉菌、悪玉菌、日和見菌などさまざまな細菌が存在し、複雑なフローラを作って腸内環境を保っています。善玉菌は有害物質を排出するのを助け、免疫細胞を活性化しますが、加齢とともに減少し、逆に多くの病気を引き起こす悪玉菌は増加します。老廃物を出す力も弱まり有害物質がたまりやすくなります。

 下剤を常用すると腸内フローラのバランスを変化させ、免疫機能の異常を招きます。腸内フローラの多様性の低下は、神経伝達物質の産生に影響し認知症の発症にも関係します。今回の研究では、認知症の発症率は市販の下剤を常用していない人では0.4%だったのに対し、常用していた人では1.3%に上昇していました。また、アルツハイマー型認知症や血管性認知症(脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こる)は、使用する下剤の種類が多いほど発症リスクが増加していました。

 腸内環境を良くするためには、栄養バランスの取れた食事や規則正しい生活を心がけます。便秘の予防にまずは水分や食物繊維を十分に摂取しましょう。また、日常生活に適度な運動を取り入れ、質の良い睡眠時間の確保も腸内環境にとって大切です。便秘で悩んだら、専門医に相談しましょう。

令和6年4月4日 北國新聞朝刊掲載

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