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スタチンに肝臓がん予防効果

 自治体の検診も終わり、血液検査で中性脂肪やコレステロールの異常を指摘され受診する方が増えてきています。スタチン系薬は、日本で生まれた画期的な新薬でコレステロールを下げる薬として1987年以降広く使用されてきました。肝臓でのコレステロール合成を抑え、主に血液中の悪玉コレステロールを低下させることで、心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化が原因で発症する疾患の予防薬です。

 元来、スタチンにはコレステロールを下げる効果以外に、抗炎症作用や、肝臓が硬くなることを抑えたりする作用がありました。最新の論文では、スタチンを服用している人は肝臓病の発症リスクが低く、肝臓がんについては最大70%もリスクが低下したと報告されています。スタチンの服用が、肝臓がんの予防につながる可能性が期待できます。

 肝臓がんは日本人のがん死亡数で第5位です。がんの発症原因は肝炎ウイルスの感染やアルコールが主な原因とされていました。しかし、最近はアルコールを飲まない人でも生活習慣病や糖尿病が原因で脂肪肝になり、肝硬変や肝臓がんに進行する例が増えてきています。

 脂質異常症の治療にはスタチンを使用することが多いですが、何より大切なのは生活習慣です。肉類や卵、チーズなどの動物性脂肪を控え、野菜や青魚を多く取るようにして、週に2〜3回は散歩の時間を設けましょう。

 令和5年11月24日 北國新聞朝刊掲載

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