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一過性直腸痛、肛門に痛み

 「昨夜は肛門の奥が刺すように痛くて目が覚めたんです」。30代の女性は不安そうに診察室に入ってこられました。が、今は全く症状がありません。検査をしても、がん・炎症・痔などは見つからず一過性直腸痛と診断しました。

 一過性直腸痛は、肛門・直腸に激しい痛みが突然出現し、数秒~数分続いた後、症状が完全に消失します。主な原因は、直腸と骨盤周囲の筋肉のけいれん、陰部を支配する神経の圧迫と言われています。発作の回数は年に5回未満がほとんどです。ストレス・排便・月経・便秘・坐位・性交などが誘因となりますが、多くは不明です。

 肛門の奥の方からの刺すような、締めつけられるような、つき上げるような、不快で耐え難い痛みであり、便意を感じ、冷や汗、顔面蒼白、動悸を認めることもあります。いろいろな検査でも異常は見られず、肛門から指を入れて触診する「直腸診」で痛みが誘発されないのが特徴です。

 患者さんには、就寝前に安定剤を服用するようにおすすめしました。痛みが長く持続する場合や、長期間に及ぶ場合は、専門医にご相談ください。

令和4年3月4日 北國新聞朝刊掲載

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