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屋外の食事 食中毒に注意

 「昨日のバーベキューで食あたりしたかな?」。患者さんは今朝から腹痛、発熱、下痢に加え便に血が混じると訴え、トイレにうずくまっています。

 食中毒は汚染された食事などを介して、菌やウイルスが口から入ることによって起こります。特に梅雨時や夏に多発するのは、高温多湿の気候が菌の増殖に都合がいいからです。

 新型コロナ対策で屋外の方が安心だからとキャンプでの食事やバーベキューの機会が増えています。手洗いはもちろんのこと、まな板や包丁などの調理器具の消毒もしっかり行いましょう。生肉などを扱う箸やトングは使い分けが必要です。菌の多くは肉の表面についていますが、鶏肉やハンバーグ、ステーキなどは中心部まで十分に加熱して下さい。

 さて、冒頭の患者さんは、便の培養検査でカンピロバクターを検出しました。食中毒は、軽症であれば、絶食と十分な水分補給により数日で治ります。水分と電解質、糖質の配合バランスにすぐれた経口補水液が水分補給に最適です。重い症状は命に関わることもあるため点滴処置による入院が必要です。

 カンピロバクターはまれに敗血症や髄膜炎などの合併症を起こします。また本菌の感染と、ギラン・バレー症候群という両手足に力が入らなくなり、急速に麻痺が全身に広がる神経疾患との関連性が指摘されています。早めの受診が何より大事です。

 令和4年8月19日 北國新聞朝刊掲載

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