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共通の生活改善で予防を 糖尿病とがんのリスク

糖尿病が、がん発症のリスクを高めることを、日本糖尿病学会と日本癌学会が発表したのは記憶に新しいところです。

両学会は男性約15万人、女性約18万人の糖尿病患者の健康状態を解析しました。その結果、男性約2万人、女性約1.3万人で、がんの発症を確認し、糖尿病の人はそうでない人に比べ、がんのリスクが男女とも1.2倍となるデータをまとめました。中でも肝臓がんと膵臓がんは約2倍、大腸がんは1.4倍に上り、子宮がんや膀胱がんも、同様な傾向がみられました。

糖尿病に罹患するとブドウ糖を筋肉や脂肪に取り込むインスリンの働きが悪くなるため、膵臓がインスリンを多く出します。インスリンには細胞を成長、増殖させる働きもあり、過剰になると細胞のがん化が起こると考えられています。また、高血糖自体が起こす慢性の炎症が、がんを引き起こすとの説もあります。

過剰な飲酒、喫煙や野菜摂取不足、運動不足は糖尿病とがん共通の危険因子です。したがって予防に必要なことも、食事・運動療法、適正体重の維持、節酒・禁煙が共通して推奨されています。そして何よりも重要なのは、定期的にがん検診を受けることです。

(北國ドクタークラブ会員・むねとおなか伊藤醫院長、金沢市)

平成28年8月13日 北國新聞朝刊掲載

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