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早期食道がん、内視鏡で切除

 自治体の胃がん検診が佳境を迎えています。特殊光拡大観察を搭載した内視鏡技術の進歩もあり、食道がんを発見する機会が増えてきました。
 食道は、のどと胃の間をつなぐ細長い管状の臓器で体の中心部にあります。食道の役割は、口から食べた食物を胃に送ることです。胃内の食物が逆流するのを防ぐのも食道の役割です。食道がんは50代以降急激に増え、70代でピークを迎えます。男性は女性の5倍以上の罹患率で、主な原因は飲酒と喫煙です。飲酒するとすぐに赤くなる人は、がんになりやすい傾向にあります。飲酒と喫煙、両方の習慣がある人はより危険性が高まります。
 さらに、緑黄色野菜や果物の摂取不足も危険因子とされています。欧米では、胃酸が食道に逆流してしまう「逆流性食道炎」が原因で、がんに進行すると考えられています。食生活の欧米化に伴い、日本でも今後はこのタイプが増えると予想されます。
 食道がんは初期には自覚症状がほとんどありません。がんが進行するにつれて、胸の違和感、飲食物のつかえ感、体重減少、胸や背中の痛み、声のかすれ、などの症状が出るようになります。食道がんは、他の臓器や周りのリンパ節に転移しやすいことが分かっています。早期に発見できれば、手術ではなく内視鏡で完全に切除することができます。積極的に内視鏡検診を受けましょう。

令和6年9月19日 北國新聞朝刊掲載

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