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肛門の痛み、我慢せず受診を

おしりが今朝から急に腫れて痛いんやわ。熱もあるみたい」。患者さんははうように診察室に入ってきました。診察の結果、肛門周囲膿瘍でした。下痢便や体の抵抗力が弱っている時、多量の飲酒時に起こりやすく、膿皮症など皮膚の病気、クローン病や潰瘍性大腸炎、がんなども原因になります。

肛門から入って1.5㌢くらいの肛門と直腸の境目に、小さなくぼみが10カ所ほどあり、ここから便中の細菌が侵入して化膿したものを肛門周囲膿瘍と言います。

腫れの形は膿のたまる場所や量によって違いますが、膿がたまるにつれて痛みが増してきます。肛門の表面近くでたまると、なだらかな隆起となり、皮膚をさわると「ぷくぷく」します。肛門の深い部分に膿がたまると、表面的には分からなくても、肛門の奥や、背中まで痛みます。高熱が出ることもあります。

治療はまず、膿を出すことが先決です。痔の座薬や軟膏では効果はありません。局所麻酔をし、患部を小さく切開すると膿が流れ出してきます。その後、抗生物質を内服します。この処置で、痛みは軽くなり、「診察室では座れなかったのに、スキップをして帰れる」くらい楽になります。肛門が急に痛くなったら、我慢せずに、早く医療機関を受診しましょう。

平成30年9月25日 北國新聞朝刊掲載

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