消化器系のがんの有無を90%以上の確率で見極めるマイクロアレイ血液検査と同じく、採取した血液からがんの早期発見につなげる検査として注目を集めているのが、アミノインデックスがんリスクスクリーニング検査(AICS)です。血液中のアミノ酸濃度を測定し、健康な人とがんである人のアミノ酸濃度のバランスの違いを解析することで、がんであるリスク(危険性)を予測する検査です。人間の体の約20%は、タンパク質によって構成されています。このタンパク質のもととなるのが体内にある約20種類のアミノ酸です。健康な体であれば、血液中の各アミノ酸のバランスは、常に一定になるように保たれています。ところが、体にがん細胞があると新陳代謝に変化が起きてアミノ酸の濃度バランスが崩れます。つまり、この崩れ具合を分析すれば、どの臓器ががんに侵されているか分かるのです。健康な人を対象とし、がん検診を目的とした血液検査といえます。
男性AICS(5種): | 胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、前立腺がん |
女性AICS(6種): | 胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、乳がん、子宮がん・卵巣がん |
胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、乳がん | : | 対象年齢; 25歳~90歳 |
前立腺がん | : | 対象年齢; 40歳~90歳 |
子宮がん、卵巣がん | : | 対象年齢; 20歳~80歳 |
血液中のアミノ酸バランスに影響を与える可能性がありますので、検査のための採血は、食事後8時間以上あけ、午前中に受診して下さい。
またアミノ酸のサプリメント、アミノ酸含有スポーツ飲料、アミノ酸製剤、牛乳、ジュースなども食事と同様にお控え下さい。
妊娠されている場合、AICS値に影響がありますので、検査は受けられません。
それぞれのがん種について、がんに罹患している可能性を0.0~10.0の数値(AICS値)で報告します。数値が高いほど、がんである可能性が高くなります。また、AICS値からリスクを判断する目安として、「ランクA」「ランクB」「ランクC」の3段階に分類されます。AICSはがんであるかどうかを確定するものではありません。ランクAであっても、がんでないとは言い切れませんし、反対に、ランクCであっても、がんであるとは言い切れません。
AICSは今までのがん検査とは異なる全く新しい角度からがんの可能性を評価する方法です。しかし、検査にはそれぞれに長所と短所があり、いくつかの検査結果を総合的に判断することで、がんを見つけ出せる可能性が高くなると考えられます。また、AICSは採血時のがんであるリスクを評価するもので、生涯に渡ってのリスクを評価するものではありませんので、定期的に検査することが大切です。
検査結果区分 | 結果範囲 | 有病率 | 各々のランクでの有病者数* |
ランクA | 0.0~4.9 | 0.03~0.07% | 8,000人に2.0~5.3人 |
ランクB | 5.0~7.9 | 0.13~0.21% | 1,500人に1.9~3.2人 |
ランクC | 8.0~10.0 | 0.40~1.16% | 500人に2.0~5.8人 |
*がんの一般的な有病率を0.1%(10,000人に10人)とした場合、それぞれのランクで想定される有病率を検査の感度および特異度から算定します。
現在までに各種AICSの結果に影響を与える可能性が分かっている病気
AICS(肺) | : | 慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎、非結核性抗酸菌症、肺結核、肺気腫、無気肺 |
AICS(前立腺) | : | 前立腺肥大、糖尿病 |
AICS(子宮・卵巣) | : | 子宮筋腫、子宮内膜症、良性卵巣腫瘍 |
複数のAICS | : | 脳梗塞 |
健康保険の適応となりませんので、費用は患者様の自己負担となります。
当院では、
男性AICS(5種): | 21,600(税込)円 |
女性AICS(6種): | 21,600(税込)円 |
で実施しています。
健康保険の適応となりませんので、費用は患者様の自己負担となります。
ランク分類 | ランクA | ランクB | ランクC |
AICS値 | 0.0~4.9 | 5.0~7.9 | 8.0~10.0 |
低い | ←がんであるリスク→ | 高い |
ランク分類 | ランクA | ランクB | ランクC |
AICS値 | 0.0~4.9 | 5.0~7.9 | 8.0~10.0 |
胃がん | 1/3,200[0.3倍] | 1/625[1.6倍] | 1/98[10.2倍] |
肺がん | 1/2,963[0.3倍] | 1/536[1.9倍] | 1/111[9.0倍] |
大腸がん | 1/2,000[0.5倍] | 1/789[1.3倍] | 1/122[8.2倍] |
前立腺がん | 1/2,222[0.5倍] | 1/469[2.1倍] | 1/156[6.4倍] |
乳がん | 1/1,509[0.7倍] | 1/556[1.8倍] | 1/250[4.0倍] |
子宮がん ・卵巣がん | 1/4,000[0.3倍] | 1/682[1.5倍] | 1/86[11.6倍] |
[ ]:一般の方ががんであるリスクを1とした場合の、がんであるリスクの倍率
例えば、胃がんにおいて「ランクA」となった場合、がんである確率は1/3,200となり、同じ「ランクA」となった3,200人の中1人の確率でがんである可能性を示します。「ランクB」では1/625、「ランクC」では1/98となり、「ランクA」「ランクB」「ランクC」の順でがんである確率が高くなることを示します。また、一般の方ががんであるリスクを1とした場合、胃がんにおける「ランクB」は1.6倍、「ランクC」では10.2倍のリスクがあるといえます。